おうちのうさぎさんが一箇所を執拗に齧ったり、毛をむしったりしていませんか?それはもしかしたら自咬症かもしれません。自咬症と聞くと 「なんだそれ?」 となる方も多いと思いますが、うさぎさん自身が自分を傷つけているので、自傷行為だと言われています。今日はそんな自咬症について実際の症例を交えながら解説していきます。自咬傷とは?自咬傷はその漢字の通り、自分で咬むことにより傷を負うことを指します。うさぎさんの場合は精神的な要因で起こり、その原因は様々です。原因は?原因はさまざまですが、多くがストレスと言われています。ストレスの原因の中には発情期のイライラが行動に出て、このような行為をしているとも言われています。他には同居動物騒音食餌の変更などで起こることがあります。自分で毛を抜きやすい部分である顎の下左右の体幹お腹周りので脱毛や、ひどい場合は皮膚が裂けることもあります。検査まずは皮膚病を否定しなければいけません。皮膚病には細菌性、真菌性、寄生虫などがあります。皮膚にガラス板を当て、ペタペタし染色を行い菌がいるかを検査します。また、毛を根っこから抜き、顕微鏡で観察し、真菌に感染していないかを確認します。真菌は培養検査やPCR検査を行うことで確定診断することが多いです。寄生虫の検査は皮膚を少しカリカリし、角質の下に隠れている寄生虫を見つけます。これら感染症が否定的であれば、自咬症の可能性が高くなります。治療治療はストレス原因の除去です。発情のストレスであれば避妊手術を実施し、食餌内容によるストレスであれば以前の食餌に戻します。騒音の回避はなかなか難しいと思いますが、なるべく音が響かない部屋に移動したり、防音シートなどの使用を検討します。症例症例は8ヶ月のネザーランドドワーフ初診時は未避妊メスでした。1週間ほど前から、首の下に脱毛がるとのことで当院に来院されました。元気食欲は問題なく、排便も正常とのことでした。首を周りを見ると、確かに脱毛が確認されました。検査皮膚の検査を行いましたが、寄生虫や細菌、真菌などの感染は認められませんでした。診断性ホルモンによるストレスのための「自咬傷」と診断しました。治療この症例は元々、避妊手術を検討していたこともあり、治療にを含めた避妊手術を実施しました。経過術後は体調も問題なく、脱毛を起こしていた皮膚もかなり綺麗になりました。まとめうさぎさんの自咬症は最初は気付きにくく、発見した時には皮膚に怪我をしている場合もあります。一部分を執拗に齧っていたり、抜毛している場合は自咬傷の可能性があります。もちろん他の皮膚病の可能性もありますので、気づいた時は早めに動物病院までご相談ください。