こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです。今日はうさぎさんの食欲不振の原因で一番多いと言っても過言ではない、うっ滞の症例をご紹介します。消化管うっ滞とは?うさぎさんの消化管は常に働いており、低栄養・高線維の牧草などを効率よく消化し、エネルギーとして利用しています。うっ滞はその消化管の運動が低下、停止することにより起こります。症状食欲低下運動低下糞の小型化糞量の低下腹部膨満 などが挙げられます。原因原因は多くの場合不明であることが多いですが、要因の一つとしてストレス(気温差や騒音など)痛み異物や毛玉つまり歯科疾患 などがあります。治療原因の治療が最優先となります。特段原因がない場合は、胃腸を動かす治療を行います。軽度の場合は内服薬、中等度の場合は皮下点滴を実施します。重度の場合はガスの異常発酵が起こり、鼓腸症と言われる病態に陥ります。その場合は集中治療が必要となり、連日通院や入院で治療します。症例1うさぎ ロップイヤー去勢雄 7歳5ヶ月既往歴:今年に入り急性胃拡張を繰り返す昨日の夜から水を飲まず、食欲がないとのことで来院されました。検査・処置レントゲン検査を行ったところ、胃拡張が認められました。【レントゲン:ピンクに囲まれた場所が拡張した胃 胃の中のグレー領域がガス】鼻からカテーテルを挿入し、胃内容物・ガスを抜去しました。40ml程度の内容物と、10ml程度のガスを抜去その後、消化管循環改善のために皮下点滴、注射を実施しました。しかし次の日具合が悪そうと来院しましたが、心停止をしており、死亡を確認しました。症例2うさぎ ロップイヤー去勢雄 10歳10ヶ月既往歴:線維肉腫により断脚昨日の14時以降チモシーを食べていないとのことで来院されました。触診上腹部の張りが強く認められたため、レントゲンを撮影しました。検査・処置レントゲンでもかなりのガスの貯留が認められました。【レントゲン:拡張した胃 背骨近くのグレー領域がガス】鼻カテーテルを挿入し、胃内容物を焼く20ml、ガスを50mlを抜去しました。【写真:抜去した胃内容物】【レントゲン:内容物、ガス抜去後のレントゲン】そのまま静脈点滴を実施し、入院としました。経過次の日には腹部の張りもかなり減り、活動性も上がりました。上記の2症例でも分かるように、うさぎさんの消化管うっ滞は命の危険がある状態です。少しの様子見が手遅れになることもあります。いつもより食欲がない、便の量が少ない、小さいなどあればすぐにご相談くださいね。