フェレットにも、人と同じようにあらゆる場所に腫瘍ができるかの可能性があります・フェレットで多い腫瘍として、副腎の腫瘍やインスリノーマ、リンパ腫が有名です。リンパ腫は体表の腫瘍としても観察されることがあり、飼い主様が様子を見ているうちに悪化する可能性があります。この記事を読むことで、体表にできる腫瘍にも悪性があるということを知ってもらい、早めの受診につながるきっかけになれば幸いです。フェレットに多い体表腫瘍フェレットの体表にできる腫瘍で多いと言われているのが、肥満細胞腫皮脂腺やアポクリン腺などの腫瘍線維腫、線維肉腫血管腫、血管肉腫組織球腫リンパ腫などがあります。腫瘍の見た目これらの腫瘍の多くは、時間経過とともに大きくなります。また赤みや脱毛、表面から出血してきたりすることもあります。しこり自体はコロコロとした感触や、底部でくっついている感触があるかもしれません。脂肪織炎とは脂肪織炎は、外傷や腫瘍、感染、注射の炎症などによって引き起こされます。感染のない場合は、無菌性の脂肪織炎と言われ自己免疫疾患とされています。実際の症例5歳1ヶ月の去勢済みのフェレットです。「以前、怪我をしたところが腫れてきている」とのことでご来院されました。見てみると確かに右の上腕部分にしこりがありました。触ってみると、柔らかく、筋肉などとの癒着はなさそうでした。飼い主様と相談し、針を刺して細胞を採ってくる細胞診検査を実施しました。細胞診を実施すると、血様の液体が採取されました。性状検査では赤血球が大多数を占め、明らかな腫瘍細胞や菌の感染は認められませんでした。液体を出し切ってしまうと、しこりは萎みました。しかし、1週間でまた元のように腫れてしまったため、飼い主様と相談し、摘出手術を行いました。手術によって摘出されたしこりは、病理検査に提出しました。病理検査の結果は脂肪炎でした。まとめ今回の皮膚にできた脂肪織炎は、おそらく怪我が原因でできたと考えられます。しかし、脂肪織炎自体は体のどこにできてもおかしくありません。今後とも注意深く観察していくことが必要です。また、悪性腫瘍の可能性が高い場合は、早めの摘出手術をお勧めします。フェレットは犬猫と比べても、腫瘍と闘う方法が限られてきてしまいます。手術で根治の可能性があるものは積極的な外科手術をお勧めします。「フェレットの皮膚にしこりがある」「最近大きくなってきている」などありましたら当院までご相談ください。