こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥今日は猫ちゃんのいわゆる逆さまつ毛の一部である『眼瞼内反』 についてご紹介いたします。眼瞼内反とは眼瞼内反症は、眼瞼(まぶた)のへりが内側に反転してしまうことを言います。眼瞼内反があると睫毛が角膜に接触してしまい、刺激により目ヤニや羞明、流涙などの症状がみられます。放置してしまうと角膜潰瘍や角膜炎の原因となります。眼瞼内反の原因は様々で、発育異常や目の病気を持つ場合もあります。発育と共に発生する場合が多く、猫ではペルシャなどでみられます。もちろん雑種、日本猫でも散見されます。症例雑種猫 4歳10ヶ月(推定)5.38kg保護猫保護当時から目の症状があり、一般病院で涙目、眼脂の治療を行うも良化せず、都内・神奈川の眼科専門病院を受診したものの治療プランなどで合意できずにいたとのこと。 この間で3年前後経過していました。(1日3回の点眼を毎日実施) その後、3rdオピニオンで当院に来院されました。外貌涙目と目のしょぼつき(羞明)が確認され、写真のように下眼瞼が内反し、角膜に睫毛が接触していることが分かります。治療飼い主様と相談の結果手術を実施いたしました。術式はHotz-Celsus (HC)、目尻切開の組み合わせを用いました。報告(参考)ではHCと目尻切開の併用が最も効果的な手術手技とあります。✳︎両側性下眼瞼内反症 64 例と片側性下眼瞼内反症 60 例を治療した。23 匹の猫は 1 歳未満、52 匹の猫は 2 ~ 8 歳、49 匹は 8 歳以上でした。下眼瞼内反症を矯正するための 1 回の外科手術 (複数の技術で構成される場合もあります) の全体的な成功率は、片目あたり 96.0% でした。残りの 4.0% は 2 回目の手術で内反が解消されました。 HC と目尻切開を組み合わせた場合、下眼瞼内反症の解決成功率は 99.21% でした。(Surgical management and outcome of lower eyelid entropion in 124 cats.White JS et al.Vet Ophthalmol. 2012 Jul;15(4):231-5.)経過【写真:術直後の外貌 眼瞼のへりが確認できる】術後直後は毛刈りや手術の炎症によりやや腫れているように見えます。しかし、抜糸の頃には毛も生え、かなりスッキリした様子でした。【写真:抜糸時(術後1ヶ月)】【写真:手術前】 【写真:手術後】涙の量も減少し、毎日の点眼薬もなくなりました。眼瞼のヘリもしっかり見えており、傷口も綺麗です。眼瞼内反は本人にとっても辛い疾患です。根本的な治療には外科手術が必要になります。 目のショボつきや点眼が困難、、、コンタクトレンズをしていても外れる、挿入処置が辛そう。。。などありましたら当院までご相談ください。