うさぎの尿の色はもともと黄色やオレンジ、茶色や赤色まで様々です。そのため、『おしっこが赤い!』と診察に来られるうさぎさんでも正常ですとお伝えすることもあります。しかし、本当に血尿の場合もありますので、しっかりと検査を行い、治療をしましょう!うさぎの尿の色の不思議なぜうさぎの尿はこんなにも色が違い、血尿のような赤色をすることもあるのでしょうか?うさぎの尿は血液の色素以外の色素により色がつきます。どういうこと?とお思いましたか?初め私はそう思いました。つまり、うさぎの尿の色・濃さ・濁りは飲み水の量や食べたものより変わります。食べ物に含まれるポルフィリン色素やニンジンなどに含まれるカロチン、松の葉などによりその程度は変わってきますし、飲み水の量が多いと薄い尿や濁りの少ない尿になります。食餌中のカルシウム摂取が多いと、尿中にカルシウムが大量に排泄され、濁った尿になります。血尿の原因では実際食事での赤い尿ではなく、血尿だった場合は何が原因なのでしょうか?【写真:実際のうさぎの血尿】まずオス・メスどちらも起こりえる病気として膀胱炎膀胱結石膀胱腫瘍腎臓病尿管の異常が、挙げられます。未避妊のメスであれば子宮腺癌子宮内膜炎子宮炎などの可能性があります。検査検査は尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を実施します。尿検査では本当に血尿なのかどうかを診断することが可能です。血液検査では貧血になっていないか、感染症や炎症があれば白血球などが高くなっていないか、腎臓の数値を見ることも可能です。レントゲン検査では、結石の有無や異常な子宮を確認することが可能ですし、体調が悪い時の胃腸の様子を見ておくこともできます。超音波検査では膀胱粘膜の様子や、卵巣、子宮内が液体なのかシコリ状なのかを確認します。治療治療は原因にもよりますが、子宮や卵巣疾患であれば、診断のためにも子宮卵巣摘出術を行います。膀胱炎の可能性が高い場合は抗生剤などによる内科治療が効果的だと考えます。膀胱結石や、腫瘍は外科的な切除や摘出が必要です。しかし、うさぎは麻酔のリスクが高いという点を十分に考慮しなくてはりません。実際の症例症例はウサギ、11歳、去勢済みの男の子です。今日、おしっこの色が赤いことに気づいた。食欲はあるが排尿時にお尻を上げている。とのことで当院を受診されました。身体検査時におしっこをしてくれたため、その尿で尿検査を実施したところ、やはり正常な赤色の尿ではなく、出血による赤い尿だとわかりました。レントゲンの検査では膀胱内に無数の結石が確認されました。【レントゲン:丸い無数の膀胱結石が確認できる】超音波検査で腎臓や尿管を確認しましたが、これらに異常は見当たりませんでした。診断・治療血尿の原因は膀胱結石による膀胱粘膜の炎症、出血によるものと診断しました。本来であれば膀胱結石は摘出することが一番ですが、11歳という年齢から麻酔のリスクはやはり高いであろうと判断し、飼い主様と相談の上で内科治療となりました。また、食事内容の変更をお願いし、なるべくカルシウムが含まれていないご飯に変えていただきました。経過次の日から血尿は治まり、元気になってきたとのことでした。まとめうさぎの血尿の原因は膀胱炎などの比較的軽度なものから、時には手術をしなければいけないものまで多岐に渡ります。また、見た目では正常な赤い尿なのか、病的な赤い尿なのかの判断をつけることは難しいです。おしっこが赤いな。。。と思われたら、一度動物病院へご相談くださいね。