犬が人の薬を誤食することはよくあり、その中でも睡眠薬や痛み止めなどがよく挙げられます。お薬の中にはかなり危険なものもあるため、気づいた段階で早めに病院までご相談いただければと思います。今日はそんな人用のお薬を誤食してしまったワンちゃんの症例を交えつつ、アセトアミノフェンの誤食についてご説明いたします。アセトアミノフェンとは?アセトアミノフェンは人の解熱鎮痛薬であるカロナールに含まれています。体温調節中枢に効き、熱を下げ、痛みの情報を伝達する物質を抑え鎮痛効果を得ることができます。NSAIDs(ロキソニンやボルタレンなど)と言われる鎮痛薬よりも副作用が少なく安全と言われてはいますが、人用なので誤食をすると犬や猫にとってはそもそも量が多くなってしまいます。誤食するとどうなる?軽症では消化器症状つまり嘔吐や下痢が見られます。重症では犬は肝障害、猫では貧血やチアノーゼが認められます。中毒量は犬で150mg/kg猫で50mg/kgと言われています。若齢の子は肝臓・腎臓の働きや消化管の働きもまだまだ未熟なため、これよりもさらに少ない量でも中毒を起こす場合があります。治療は?誤食したばかりであれば吐かせる処置を行い、なるべく体内からアセトアミノフェンを除去します。アセチルシステインの使用により、アセトアミノフェンの中間代謝物の有害成分を無害にすることも可能です。ただしこの薬剤を置いていない病院もありますので確認が必要です。その他、アセトアミノフェンの成分を吸着する炭を飲んだり、胃の粘膜をコーティングしアセトアミノフェンが体内に取り込まれることを防ぎます。症状や検査により内臓へのダメージが認められた場合は点滴や輸血、酸素の投与などを実施します。実際の症例5ヶ月のメスのミックス犬がアセトアミノフェンの誤食でご来院されました。体重:1.2kg発熱はなく、来院時での身体検査で問題はありませんでした。200mgの錠剤を約半分くらいは誤食したかもとのことで、緊急で吐かせる処置を行いました。無事に吐かせることができましたが、念の為、点滴とこれ以上の薬剤吸収を抑えるために、スクラルファートを投与しました。次の日の血液検査でも大きな問題がなかったため、無事退院しました。まとめアセトアミノフェンを含め、誤食の多くは防ぐことが可能です。人間用の薬は動物たちにとって量が多く、小型犬であれば一錠でも危険な場合があります。飲み込んでしまった場合はなるべく早く病院へご相談ください。また、犬や猫が届かない場所にしまっておくことも大事ですし、飼い主様が薬を飲むときにうっかり落としても大丈夫なようにペットが来れない場所で飲むことも大事です。万が一に備えて、ペットたちが苦しむことの内容にしていきましょう。