こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥今日はインスリノーマを疑う症例のお話をします。インスリノーマインスリノーマは膵臓のβ細胞由来の腫瘍で、比較的高齢のフェレットさんに多いと言われています。症状インスリノーマの症状はふらつき、よだれが出る、元気がない目がうつろ・・・などこれらの症状はインスリンが過多になり低血糖を引き起こすことで生じます。 診断診断は血液検査で低血糖であることを確認します。画像検査でわかる場合もありますが、超音波を頑張ってくれるフェレットさんでも小さくてわからない場合や、微慢性に腫瘍ができている場合などは存在を証明できないことがあります。レントゲン検査でわかることはまれです。治療 インスリノーマの治療としては内科、外科の2種類があります。内科の場合はプレドニゾロンの服用を行います。プレドニゾロンは肝臓における糖の新生を促し、インスリン作用を抑制する働きがあります。(インスリン抵抗性の促進)また、ジアゾキシドというインスリンの産生そのものを抑制するお薬もあります。外科手術では膵臓の腫瘍化した部分を摘出するものですが、小さい腫瘍を全て摘出することは難しいとされており、外科手術に踏み切る場合は内科治療での血糖値コントロールが不良だった場合が多いとされています。しかし外科手術で投薬量を減らすことができたり、お薬を止めることができることもあります。一時的な改善の後、また低血糖になってしまう子もいるのでしっかりとした経過観察が必要になります。症例フェレット 去勢雄4歳7ヶ月よだれが出ており、朝からご飯も食べずぐったりしているとのことで来院されました。検査血液検査で血糖値は41mg/dlとかなりの低値であり、流涎(よだれ)やぐったりといった症状は低血糖からくるものと考えられました。また、その他の疾患の除外のためにレントゲン検査・超音波検査を実施しました。【レントゲン、超音波画像:超音波画像では腹腔内に腫瘍が確認された】レントゲン、超音波検査により、脾臓の腫れが確認され、超音波ではまた腹腔内腫瘍が認められました。入院2日目、症例の状態が上がった段階で、上記の腫瘍に対する検査として脾臓と腫瘍に対して針細胞診を行いました。【写真:細胞診結果(顕微鏡)】病理の専門医のでの検査を打診しましたが、飼い主様の合意が得られずインスリノーマの治療を開始することとしました。治療来院時の症状から、入院治療を行い点滴に糖を加えて低血糖を予防しつつ状態の安定化を図りました。また、細胞診の検査が終了した段階でステロイドを開始し、退院となりました。経過再診時には調子も良く、流涎も認められませんでした。また血糖値も正常範囲で安定しており、超音波検査では腹腔内腫瘍の縮小も確認されました。インスリノーマと診断されたら・・・まずは急な低血糖に備えてブドウ糖を準備しましょう。また、血糖値の急激な上昇はインスリン産生過多を引き起こし、その後のさらなる低血糖を引き起こします。フェレットバイトなどは控えていただくことをお勧めします。