こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥今日は犬の糞線虫をご紹介します🐶糞線虫とは?犬に感染する糞線虫は犬糞線虫(Strongyloides stercoralis)と言われ、犬糞線虫の中でもF型幼虫である時に感染が可能となります。感染経路感染経路は経口経皮経乳 があります。経口感染はその名の通り口から摂取することでおこります。感染している個体の排泄物を口から摂取することにより感染し、小腸に達します。経皮感染を起こす場合もあります。想像しにくいことですが、皮膚を貫通して侵入します。経皮感染をした場合は少し特殊で、心臓→肺→咽頭(喉)→食道→小腸に侵入していきます。また、感染した母犬が子犬に授乳をすると、そのお乳の中にも糞線虫がおり感染が成り立つ場合もあります。都内では非常に珍しいとされていますが、保護シェルターや環境の良くないブリーダーのもとではしばしば見られることがあります。そのため、子犬ちゃんや保護された子などが下痢をしている場合は必ず便検査を行いましょう。上記の感染経路には、もちろん自分の感染した便をまた摂取することにより自家感染を起こすこともあります。何度治療を行なっても便中に糞線虫の存在が確認できる場合は自家感染を起こしている可能性もあります。飼育環境の徹底した整備も大事になってきます。症状消化器に寄生した場合は下痢や軟便を起こします。無症状の場合もあり、その場合は知らず知らずのうちに感染を広げてしまう可能性もあります。また経乳感染した場合はその感染対象者は子犬ですので、体力や免疫面から重篤化しやすいのも問題です。経皮感染した場合には心臓や肺に侵入し、気管支炎・肺炎を起こす場合もあります。診断診断は便中の糞線虫を確認することです。ただし、1回の便検査で見つからないこともありますので、何回か検査を行う必要があります。便検査でこの糞線虫のR型幼虫が確認されれば診断することが可能です。【写真:顕微鏡で見た糞線虫】【写真:上の糞線虫と同個体 動きが大きいことが分かる】この症例も子犬であり、特に症状はありませんでしたが便検査にて糞線虫が確認されました。治療イベルメクチンやフェンベンダゾールによる治療を行います。✳︎イベルメクチンはコリー犬種には注意が必要です。また便検査で幼虫の排泄が陰性と確認されてから少なくとも1ヶ月は行うことが推奨されます。もし愛犬に糞線虫の感染が確認された場合は人にも感染することがありますので、要注意です。感染経路は基本的に犬と一緒ですので、経口感染はもちろん、経皮感染にご注意ください。