モルモットの尿路結石は比較的多い病気です。尿路とは腎臓、尿管、膀胱、尿道を指しますが、モルモットのオスは副生殖腺である精嚢線でも、結石が作られることがあります。今回はモルモットの尿道結石の症例を交えつつ、尿路結石について解説していきます。結石の原因結石の原因として遺伝代謝の異常食事による栄養の偏り飲水不足細菌感染などが挙げられます。一般的にはカルシウムが多く含まれているご飯や、ビタミンDの過剰な摂取が結石の原因であることが多いと言われています。症状症状には頻尿排尿痛血尿無尿元気の低下食欲の低下などがあります。結石の治療結石は小さいものだと自然に排泄されることもあります。また特に症状がない場合は、経過観察をすることもあります。経過観察をする場合でも、飲水量を増やしたり、食事の改善をしつつ、定期的な検査を実施し、結石が大きくなったり増えて利していないかチェックします。排尿痛や食欲の低下など、明らかな症状がある場合は積極的な外科的治療が必要です。外科治療を選択しない場合は対症療法を行います。痛みがある場合は痛み止めを投与し、細菌感染がある場合は抗菌薬を使用します。これらは術後にも起こり得ることですので、術後も同様の対症療法を行います。膀胱結石の予防モルモットの尿路結石はカルシウムが主成分であることから、カルシウム含有量の少ない食餌を与えるように心がけましょう。アルファルファは避け、チモシーなどのイネ科の植物の牧草やペレットを主食としましょう。うさぎ用のペレットはビタミンDが豊富に含まれているため、カルシウムの吸収が促進されますのでご注意ください。長毛種はお尻まわりの毛が汚れてしまうことで、尿路感染を起こす確率が上がります。可能であればお尻まわりを清潔に保つために毛を短めに切りましょう。野菜は水分を多く含んでいるため、飲水量を増やす効果があります。しかし、カルシウムを多く含む野菜もありますので、よく調べてから与えてください。実際の症例5ヶ月のメスのモルモットが、「昨日から排尿時に鳴く」という理由で来院されました。排便時には痛みがない、血尿はなく、頻尿でもないとのことでしたが、数日前から少し食欲がなさそうとのことでした。レントゲンの検査を行なったところ、尿道に結石がはまり込んでいることが確認できました。【レントゲン画像:緑円の中に白い結石が確認できる】沈静では摘出は困難であり、後日麻酔をかけて摘出となりました。【写真:摘出した膀胱結石】術後は食欲低下などが認められましたが、徐々に回復しております。まとめモルモットは痛みに弱い動物です。結石により痛みが生じ、食欲が低下することもあります。麻酔のリスクはありますが、尿路閉塞を起こすと命の危険もあります。まずは予防をしっかりと行い、気になる症状がありましたらすぐにご相談ください。