こんにちは!渋谷区にあります、渋谷動物医療センターです今日はワンちゃんの脾臓の腫瘍についてお話しします脾臓の腫瘍の1つである血管肉腫についても過去のブログで書いてますので、ぜひチェックしてみてくださいね! 脂肪肉腫とは脾臓の脂肪肉腫は稀で、ほとんど報告がなく、摘出後の治療法も確立しておりません。脾臓腫瘤の鑑別診断には血腫血管腫血管肉腫リンパ腫非血管腫性非リンパ腫性肉腫 が含まれます。脂肪肉腫はこの最後の非血管腫性・非リンパ腫性肉腫に含まれます。この非血管腫性・非リンパ腫性肉腫には平滑筋肉腫骨肉腫線維肉腫軟骨肉腫 などがあります。 予後脂肪肉腫は転移の有無や悪性腫瘍の細胞数の数により予後、つまり寿命に差が出ます。脾臓の脂肪肉腫の全体の生存期間中央値は623日でグレード1は1009日グレード2では623日グレード3では74日 という結果でした。グレード2,3では脾臓摘出を行なった後に化学療法を行うことが勧められていますが、化学療法に関するデータは決まっておらず、まだ研究段階といえます。転移部位は肝臓が最も多く、脾臓摘出後は肝臓の定期的な検査を行っていきます。症例12歳6ヶ月トイプードル 避妊メス既往歴:胆泥症、歯周病経過数年前から胆泥症があり、定期的に超音波や血液検査にて肝臓、胆嚢のチェックをしていました。また、脾臓の腫瘍も確認はされており、増大傾向になかったことから経過を見ていました。しかし今年の7月に脾臓腫瘍の増大が確認され、1ヶ月後の再診でも更なる腫瘍の変化(ぼこぼこしている)が認められたことから、飼い主様とも相談し、摘出を行いました。【超音波画像:22年11月 しこりの大きさ6.3×4.3mm】【超音波画像:23年7月 しこりの大きさ16.0×8.4mm】【超音波画像:23年8月 しこりの大きさ12.9×8.6mm】手術【写真:脾臓摘出手術】【写真:摘出した脾臓】結果脂肪肉腫【画像:脾臓腫瘍の病理組織】今後今回の症例は胆嚢の定期検診をしっかり行なっていたため、その他の変化(脾臓の腫瘍)にいち早く気づくことができました。また、レントゲンや超音波で明らかな転移はないものの、転移の有無で治療が異なることからCT検査を含めた術後のフォローアアップを進めていく予定です。CT検査でも転移がなければ経過観察の予定です。