こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🐾今日は猫ちゃんの膵臓腫瘍(膵外分泌腫瘍)を疑った症例をご紹介します。膵臓腫瘍とは?まず膵臓腫瘍にもいくつかの種類があります。膵臓は外分泌(消化系)内分泌(ホルモン系)に昨日が別れます。外分泌:アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素を作り消化管へ分泌してる。膵臓の90%を占める内分泌:血糖値を上げるグルカゴンや血糖値を下げるインスリンを作る。膵臓の10%程度外分泌の腫瘍は・膵腺癌・膵腺腫 などがあり内分泌の腫瘍は・インスリノーマなど があります。猫の膵臓腫瘍(外分泌)は非常に稀で情報や報告が乏しく治療法もまだまだ研究段階であることが現状です。症状体重減少食欲不振嘔吐下痢 など検査血液検査(アミラーゼ、リパーゼが高くない症例もいる)レントゲン検査(転移の判定にも有用)腹部超音波検査 CT検査細胞診検査 などが挙げられます。治療切除可能であれば手術による切除が一番と言われていますが、猫での手術難易度は非常に高いです。腫瘍の拡大により消化管を圧迫している場合は減容積も食欲の回復には有用です。症例猫 シンガプーラ14歳 去勢雄既往歴:なし2日前から食べない、飲水量が多い、排尿が多いとの主訴で来院されました。嘔吐下痢などは見られないとのことでした。体重は3.42kg 検査身体検査では黄疸が確認されました。【写真:白目が黄色い】【写真:耳の内側にも黄疸が確認できる】血液検査・レントゲン検査・腹部超音波・尿検査を実施しました。血液検査ではGlu:414mg/dl GPT:673U/L GOT:326U/L ALP:284U/L GGT:44U/LT-Bil:9.8mg/dL TP:9.5g/dL ALB:4.3g/dL と高値を示し、K,Clは低値を示しました。レントゲン検査では上腹部の一部石灰化が認められました。超音波の検査で、重度の胆管拡張、胆泥、膜炎所見、膵菅拡張、膵臓領域に腫瘤が確認されました。【超音波:拡張した胆嚢とその中に胆泥が認められる】【超音波:膵臓周囲の高エコー化が見てとれる】【超音波:十二指腸の総胆管開口部付近に、膵臓から派生している腫瘤が確認できる】糖化アルブミンの結果は30.8%と高値でした。(正常:8.5~16.5%)治療飼い主様に膵臓腫瘍の可能性が高いこと、その場合予後はかなり悪く手術も困難であることをお伝えしました。飼い主様とご相談の上、QOLの改善に注力していくこととなりました。皮下点滴、注射に通っていただきましたが、8日後に亡くなりました。猫の膵臓腫瘍(外分泌)に有効な治療法、化学療法はまだ確立されていないのが現状です。上記の予後は非常に悪いとされており、過去の報告では全体の生存期間の中央値は97日であり、化学療法もしくは外科療法を受けた猫の生存期間中央値は165日でした。診断時に腹水が認められた症例は生存期間が30日と予後が悪いと言われています。