ハリネズミも人と同様、くしゃみをすることがあります。その原因は様々で、悪化すると気管支炎や肺炎となることもあり、特に若齢期は免疫も低いため注意が必要です。今回はそんなくしゃみをしているハリネズミの症例を交えて、くしゃみについて解説していきます!くしゃみの原因くしゃみの原因は多くが感染症やアレルギーであることが多く、稀に腫瘍の場合があります。感染症では細菌性やウイルス性が多いとされています。細菌やウイルスは鼻炎を引き起こしますが、防御免疫などが弱いと気管や肺にまで感染が広がる恐れがあります。最近ではアデノウイルスの感染が致死的な気管支肺炎を起こすとの報告もあります。検査ハリネズミの検査は体の針や警戒心から、困難であることが多いため鎮静や麻酔が必要になります。気管や肺の評価のためにレントゲン検査を実施しますが、針もレントゲンに写るため、軽度の気管支炎などを診断することは困難であることが多いです。鼻水が多い場合は鼻水に細菌が入っていないかを検査することが可能です。細菌が混ざっている場合は細菌性の鼻炎である可能性があります。治療くしゃみの治療は原因にもよります。細菌感染であった場合は抗生剤を使用し、細菌をたたいていきます。ウイルスは残念ながら特効薬の様なものはなく、自己の免疫を上げてもらうしかありません。食欲不振や下痢などがある場合はそちらの治療も並行して行います。実際の症例ヨツユビハリネズミ オス 2ヶ月体重:206.2gお家にお迎えしてからくしゃみが続いている。1週間前くらいから悪化し、ここ数日は下痢もしているとのことでした。身体検査では鼻水が確認されました。幼若時は感染症であることが多いこと、ハリネズミの検査には多くの場合、鎮静や麻酔が必要であることを飼い主様にお伝えし、まずは治療から始めることとしました。再診ではくしゃみも減り、体重も増えているとのことから、どう治療を継続し、様子を見ています。まとめハリネズミのくしゃみについて解説しました。小さい動物さんたちは検査も難しいことがあり、得られう情報にも限界があることから、診断に苦慮することもあります。そのため、その検査をすることで何が得られるのか、治療が変わるのかを飼い主様と相談して決めていきます。特にハリネズミさんは検査自体に沈静や麻酔が必要な場合が多いです。検査をせずにわかること、検査をするとわかることを考えて、ハリネズミさん、飼い主様と一緒に治療ができればと思います。