ハムスターの腫瘍について、ここでも何度かご紹介しました。ご興味のある方はぜひ一度、ご一読ください。今回はジャンガリアンハムスターのお口の中にできた腫瘍について解説します。ジャンガリアンはハムスターの中でも、腫瘍の発生が多いとされています。悪性腫瘍では乳腺腫瘍や肉腫、扁平上皮癌などがあります。今回はハムスターの扁平上皮癌について、実際の症例を交えながら解説します。ハムスターの扁平上皮癌とはハムスターの扁平上皮癌は頭部に発生することが多いとされています。眼や口などに発生しやすく、口の中にできた場合は発見が遅れることもしばしばあります。扁平上皮癌はその性質から、転移が多い腫瘍ではありません。しかし腫瘍が発生した場所で徐々に大きくなるタイプですので、摘出しても再発しやすい傾向にあります。検査は細い針を刺して、細胞を確認する細胞診検査があります。これで不整な扁平上皮が見られた場合は、扁平上皮癌の可能性が高くなります。扁平上皮癌などの悪性腫瘍が疑われる場合は、病理検査という組織診断を行い確定診断をつけます。ハムスターの扁平上皮癌の治療は?ハムスターの扁平上皮癌は、外科手術で治療します。残念ながら抗がん剤などの内科治療は主流ではありません。ただし食欲の低下や痛みがある場合には、積極的に内科治療を行います。現状ではかなり小さい扁平上皮癌のみ手術で完全に治すことが可能だと考えられます。大きくなると、腫瘍を完全に取り切ることが難しくなります。そのため残ったがん細胞から再発が起きます。扁平上皮癌はどうなって行くの?扁平上皮癌ができたハムスターはしこりがどんどん大きくなることが予測されます。場所にもよりますが、口にできた場合はお口の中で癌が大きくなりますしお鼻にできた場合は呼吸ができず、お口を開けて呼吸をするようになります。ご飯を食べたり、寝ることができずに衰弱したり、呼吸ができなくなる可能性もあります。脳の方に大きくなる場合は発作や意識の低下が見られるかもしれません。実際の症例今回の症例は1歳3ヶ月のオスのジャンガリアンハムスターです。1週間前から右眼〜右頬にかけて腫れているとのことでホームドクターを受診したところ、お口の中にしこりがありホームドクターでは治療困難と言われたため、当院にセカンドオピニオンで来院されました。当院でもお口の中のしこりが確認されました。しこりの場所が口のなかであることから、細胞診検査は困難であることが予想されたため麻酔をかけて摘出をし、病理検査をすることとしました。病理検査の結果は扁平上皮癌でした。術後は食欲の低下が認められましたが、徐々に自分でご飯を食べてくれています。まとめ今回はハムスターの扁平上皮癌について解説しました。扁平上皮癌は小さいうちに、手術で取り切ることが一番の治療となります。ハムスターさんの頭部にしこりがあると気づいたら、すぐに病院へ行きましょう。頭部は場所によっては細胞診が困難です。しこりが小さければ手術の難易度も下がります。頭のしこりに気づいた時は、まずご相談くださいね。