こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🐾今日は猫ちゃんの免疫介在性溶血性貧血の症例をご紹介します。免疫介在性溶血性貧血とは?免疫介在性溶血性貧血(以下IMHA)は原因がある続発性と原因の解明に至らない特発性に分かれます。ひと昔前であればFeLV(猫白血病ウイルス)感染により生じることが多いと言われてきました。そのため、猫ちゃんのIMHAは続発性が多いとされていましたが、昨今では約6割が特発性という報告もあります。また、昨今ではLeLV感染猫は減少傾向であることから、続発性でもリンパ腫白血病その他悪性腫瘍ウイルス感染によってIMHAが引き起こされるとされています。症状元気、食欲の低下口腔内(粘膜)の色が白い疲れやすい などが挙げられます。検査まずは貧血の原因が出血や慢性炎症による貧血や感染によるものでないかの確認が必要です。そのため、検査は全身となることが多いです。ウイルス検査(FeLV/FIV)血液検査レントゲン検査超音波検査ベクター媒介感染症検査自己血凝集直接クームス試験 などを行います。治療続発性である場合は原因疾患の治療を実施し、貧血の症状がある場合は輸血も考慮します。特発性の場合は免疫抑制剤を使用します。上記同様に治療効果が出るまでに症状が著しい場合は輸血を実施します。また、免疫抑制剤に治療反応がない場合は脾臓摘出を考慮します。症例猫 アビシニアン2歳6ヶ月 避妊雌既往歴:なし当院の健康診断でやや貧血(Hct 23.9% 正常:24~45%)が認められ再検査を勧めていました。後日、元気食欲がないとのことで来院されました。(健康診断後3週間)検査血液検査では健康診断時から更なる貧血の悪化が認められました。(Hct:23.9%→10.7% 正常:24~45%)また自己凝集が確認された。【写真:自己凝集を起こし赤血球がつぶつぶしているように見える】FeLV/FIV検査【写真:ウイルス検査は陰性であった】レントゲン、超音波検査では大きな異常は見られませんでした。ベクター媒介疾患検査【画像:ベクター媒介性疾患は全て陰性】治療免疫抑制剤としてプレドニゾロンを開始しました。上記検査時にベクター媒介性疾患の結果が出ていなかったため、念の為ビブラマイシンの服用もしておりました。オメプラゾール、ファモチジンは胃粘膜保護のために使用しています。(ステロイドの使用により胃腸粘膜があれ、それによる出血が生じることもあります。)経過本症例はプレドニゾロンの服用により順調に貧血の改善が見られ、避妊手術前(発症前)のHctに戻っており、元気食欲も回復しております。今現在はステロイドを漸減しつつ再発がないか見ています。ベクター媒介性の疾患は否定的であったため、ビブラマイシンの投薬は結果が出たのち止めています。