こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🐾今日はうさぎさんの斜頸・眼振の症状で知られているエンセファリトゾーン感染疑いの症例をご紹介します。エンセファリトゾーンとは?エンセファリトゾーンとは比較的一般的な感染症で、報告ではイギリスのウサギの50%が血清的には陽性であるという結果でした。しかし感染しても実際に臨床症状を発症するウサギは稀であると言われています。感染経路は経気道感染と経口感染と言われています。侵入した胞子は脳や腎臓に行き、原虫は肺や肝臓、心臓に感染することもあります。症状感染部位により症状は様々ですが、捻転斜頸運動失調眼振食欲不振 尿失禁麻痺腎不全症状 などが挙げられます。検査エンセファリトゾーンは同定が困難であり、生前診断はできないとされています。そのため、身体検査や症状、外耳炎・中耳炎などを否定し、診断的治療を行うことが多いです。治療エンセファリトゾーン感染症を疑う場合はフェンベンダゾールの投薬を実施します。症例1ウサギ メス4歳2ヶ月既往歴:なし今日の夕方から旋回運動が始まっているとご来院されました。身体検査では眼振が認められました。外耳炎は確認されませんでしたが、念の為抗生剤とフェンベンダゾールの投薬を飼い主様の都合により入院下で開始しました。食欲などに関しては皮下点滴や、投薬、強制給餌により対応し、捻転による角膜保護に関してはヒアレイン点眼を実施しました。退院時には眼振はやや落ち着きましたが、斜頸は変わらずでした。【写真:入院初日はタオルでの支えが必要だった】症例2ウサギ ホーランドロップ 雄 11歳4ヶ月既往歴:臼歯過長による食欲不振後ろ足が開き正常に歩けないとご来院されました。診察時にもその場で旋回運動をしていました。また眼振も見られました。外耳炎所見はありませんでしたが、中耳炎の可能性も考え治療を実施しました。経過投薬により症状は改善され、旋回運動も緩やかになり、眼振も速度の低下や一定時間静止させると消失が認められました。本症例は年齢もあり、中耳炎、エンセファリトゾーンの感染を疑ってはいますが頭蓋内疾患も視野に入れて様子を見ていきます。エンセファリトゾーン感染により発症した場合、食欲不振は予後不良の一因と言われています。また早期の治療によりその後の後遺症などの予防にもつながります。捻転や斜頸、眼振などの症状がある場合は早めに御受診ください。