こんにちは!渋谷駅すぐの渋谷動物医療センターです 🏥今日は血小板減少症のワンちゃんをご紹介します。その前に少し、血小板についてお伝えします。 血小板の役割血小板とは血液中に存在し、止血の機能を有します。実は一概に止血と言っても、かなり複雑な構造でできています。少し難しい話をすると、止血の機能には一次止血二次止血 があります。なんだそれ? ですよね・・・。人は怪我をした時「あ、怪我しちゃったー」「案外血が出たなー」「あ、でも止まってきた」「大きい瘡蓋になっちゃった・・・」と思っているくらいだと思います。しかし人がそう思っている間も、体はしっかり反応しています。その過程を少しだけご紹介します。まず血が出てくる、というのは血管が損傷を受けた場合に起こります。そして皮膚も損傷した場合は出血ですし、皮膚の損傷がない場合は内出血ということになります。皮膚の内側で出血しているから内出血 なんですね。血管が障害を受けると、まず起こることは血管を収縮させること。それにより、障害を受けた血管の血流を悪くします。その時点で体は出血を最小限に止めようとしているのです。そしていち早く血流に乗ってやってくるのが血小板です。血小板は血管が障害を受けた場所にペタペタ付着していきます。よく例えられるのは、血小板は川が氾濫した際の土嚢です。土嚢はとっても重く、しっかりと川の氾濫をおさえてくれそうですが、大量の水の流れを堰き止めたり、長時間の氾濫を止めることにはあまり向きません。隙間から漏れてくることもあります。血管の損傷も土嚢である血小板だけでは対応できない場合があります。その時に活躍してくれるのがフィブリンです。フィブリンはいわゆるセメントの役割をしてくれます。川が氾濫したからコンクリートで堤防を作った。 という行為に近いです。血小板の土嚢が一次止血フィブリンのセメントが二次止血です。さて今回ご紹介するわんちゃんは、そんな一次止血に必要な血小板が少なくなる病気です。症例症例はポメラニアン、2歳の去勢雄昨日、体のいたるところに紫斑があると気づいた。とのことで受診されました。血尿や下血などはなく、本人の体調も今の所変わらないとのことでした。発熱は認められませんでしたが、ご家族様の申告どおり、背中、腹部、頸部、股に紫斑が認められました。その他触診上、異常は見当たりませんでした。 検査採血をおこなったところ、血小板の数値が13000/μlでした。(基準値:200000~500000)その他血小板が大量に消費されてしまう要因がないか、レントゲンや超音波検査を実施しましたが、大きな問題は認められませんでした。経過この時点で、血小板減少症と診断し、ステロイド、胃薬を処方いたしました。3日後の採血では血小板は263000まで回復し、さらに一週間後の血小板は375000まで回復しました。新たな紫斑の増加はなく、ここ1週間で腹部の紫斑は消失しました。血小板減少症とは?血小板減少症は免疫の疾患であり、自己の血小板を破壊してしまう血小板減少の原因の代表的な疾患です。症状症状は皮膚の紫斑や点状出血鼻出血血尿血便 など様々です。診断血小板減少症の診断には血小板が少なくなる他の原因を探り、全て除外した上で診断することが可能です。なかなか治らない紫斑や体に複数箇所の紫斑がある尿が赤い歯茎に点状に赤いぶつぶつがある便が真っ黒・・・など少しでも気になることがあればご相談くださいね🏥