こんにちは!渋谷駅すぐの渋谷動物医療センターです🏥今日は犬の視神経炎の症例についてご紹介します!視神経炎とは?視神経炎は犬ジステンパーウイルス、クリプトコッカス、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスなどの感染や腫瘍、またはそれに付随した症状、免疫疾患に伴って見られます。基本的に視神経は再生しない神経ですので、早期の治療介入が必要となります。犬で見られる特発性視神経炎の多くが肉芽腫性髄膜炎(GME)の局所型(眼型)であると考えられています。猫での特発性視神経炎は報告がなく、感染や腫瘍、高血圧によるものが多いとされています。症状突然の失明(両眼が多い)診断突然の失明(瞳孔散大)網膜電図に異常が見られない眼底検査で乳頭炎が見られることもあるMRI検査感染抗体検査 などが有用とされています治療視神経炎に対する免疫抑制療法を実施します。症例1犬 ポメラニアン6歳4ヶ月 メス(未避妊)昨日から目が見えないかもしれないと来院。食欲もなく、廊下のものにもぶつかり、ガラスにもぶつかったとのことでした。検査触診上大きな問題なし眼科検査では左右ともに瞳孔散大充血(-)威嚇瞬目反応(-)対光反射(-)眩目反射(-)水晶体脱臼なしその他血液検査、超音波検査でも炎症疾患などは見当たりませんでした。すぐに眼科専門医を紹介し受診してもらいましたが、眼圧正常眼底検査も正常ということでMRI検査となりました。MRI検査では・左側視神経周囲のCSFがT2WIで不明瞭となっており、左側視神経は淡い造影増強効果を示しており視神経炎を疑う・上記の異常は視交叉周囲までおよんでいる・脳には明らかな異常所見は認められない結果視神経炎(肉芽腫性髄膜脳炎(眼型))疑い治療ステロイド経過ステロイドの使用により視力回復が認められるとの飼い主様からの報告もあり、当院でも綿球落下試験なども陽性と診断されました。ステロイド量を漸減し、休薬しましたが約1年後に再度同様の症状が見られました。MRI検査の結果、同様の視神経炎と診断されたためステロイドを再開しました。今現在もステロイドの治療中です。症例2犬 チワワ11歳2ヶ月 メス(未避妊)既往歴:僧帽弁閉鎖不全症朝から物にぶつかる、トイレを失敗するなどを主訴に来院されました。検査触診上は問題はなく、瞳孔の散大が認められました。眼科検査では左右ともに瞳孔散大【写真:光を当てても瞳孔が散大したままであることがわかる】充血(-)威嚇瞬目反応(-)対光反射(-)眩目反射(-)眼圧 右12 左12 正常水晶体脱臼なし角膜反射(+) でした。眼科専門病院を紹介し受診していただきましたが、全身性の炎症は否定的網膜電図は正常眼底検査問題なしとのことで視神経・脳疾患が疑われました。飼い主様がMRI検査を希望されなかったためステロイドの治療を開始しました。経過現在もステロイドの治療を継続しつつ漸減中です。物にはぶつかることがなくなりましたが、視力の回復はなさそうとのことでした。