ハムスターも人と同じ様に腫瘍ができます。その腫瘍も良性・悪性に分かれ、皮膚にできる腫瘍も例外ではありません。ハムスターの中にも、腫瘍ができやすい種類はわかってきており、日本であれば人気種のジャンガリアンハムスターはゴールデンハムスターよりも腫瘍の発生が多いと言われています。今回はハムスターの皮膚の良性腫瘍である線維腫について実際の症例を交えつつ、解説していきます。線維腫とは(非定型線維腫・異型線維腫)線維腫とはジャンガリアンハムスターの皮膚の下の真皮から皮下組織に発生する良性腫瘍です。アンドロゲンという男性ホルモンに関連していると言われています。男性ホルモンに関連しているため、オスに多く発生します。胸の辺りや、お腹、脇に多く発生すると言われていますが、さまざまな形を形成するためため、見た目で診断することは困難です。稀に異形成線維肉腫という悪性腫瘍の場合もあることから、摘出せずに経過を見る場合は注意が必要です。治療腫瘍の治療には外科的治療があります。良性腫瘍ではありますが、ハムスターが気にして噛んでしまう場合や、擦れて出血や感染が起こる場合は積極的に切除します。また診断には、しこりを摘出するしかないため適切な診断のためにも外科治療を選択する場合があります。腫瘍の治療ではありませんが、感染や出血、痛みがある場合は内科的に治療する場合もあります。実際の症例症例は1歳の雄のジャンガリアンです。「昨日の夜にお腹にしこりがあることに気がついた。体重も減っている」とのことで当院に来院されました。身体検査では右脇から腹部にかけて5mm程度のしこりが確認されました。本人の性格や動きから、針を刺しての細胞診は困難であると判断し、当日は飲み薬をお出しして経過観察としました。7日後、しこりが大きくなってきたとのことで飼い主様が手術による摘出を希望されたため、しこりの摘出手術を実施しました。手術は問題なく終了し、麻酔の覚めも問題ありませんでした。摘出したしこりを病理組織検査したところ、非定型線維腫という診断でした。今現在傷の経過も問題なく、再発もありません。まとめ今回はハムスター、特にジャンガリアンの線維腫について解説しました。小さい動物たちの手術は勇気がいることかと思いますが、摘出しないと、その腫瘍が悪性なのか良性なのかわからないことも多いです。獣医師とよく相談した上で、ベストな治療を見つけていきましょう!