こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥今日は僧帽弁閉鎖不全症の犬の症例をご紹介します。僧帽弁閉鎖不全症とは?中高齢のワンちゃんの場合、先生に聴診器で心臓の音を聞いてもらって、『おや?雑音があるね!』 と言われた場合、一番可能性の高いのがこの病気です。 心臓には4つの部屋があります。右に2つ 左に2つです。人もそうです。(ちなみに魚は2つのお部屋 両生類・爬虫類は3つのお部屋です。面白いですね)心臓はポンプの役割をしており、全身に血液を送ります。この循環は実に正確に行われており、心臓と血管、受容体、ホルモンで見事な連携をとっています。その中でも重要になってくるのが、『血の巡りを逆流させない』と言うことです。その逆流させない!を統制しているのが、『弁』です。弁は心臓に4つあり、僧帽弁閉鎖不全症というのは僧帽弁(左の心臓のお部屋2つを区切っている弁)のトラブル(閉鎖不全)が起きて血液が逆流する病態のことを言います。検査身体検査、レントゲン検査、心臓の超音波検査などを実施します。治療僧帽弁閉鎖不全症には現在のところ、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)の定めた規定に則り心拡大や心不全の有無を評価し、ステージ分けします。そしてそのステージに合わせた治療を実施します。症例1犬 チワワ避妊雌 10歳4ヶ月既往歴:水頭症 僧帽弁閉鎖不全症心臓が悪く、強心薬を既に飲んでいる。咳が多い、心臓の精査を希望してご来院されました。検査レントゲン検査、心臓超音波検査、血液検査を実施しました。【レントゲン:心拡大があり、気管が背側に挙上している】【超音波:心臓超音波でも肺水腫へのリスクが高いと診断】診断僧帽弁閉鎖不全症ステージC治療既に飲んでいる強心薬の増量と利尿薬を追加で服用していくこととしました。経過定期的な検診をしております。咳もかなり落ち着いており、経過は良好です。症例2犬 雑種去勢雄 11歳3ヶ月既往歴:なし身体検査にて心臓の雑音が確認されました。検査レントゲン検査、心臓超音波検査を実施しました。【レントゲン:気管支の挙上は認められず、心拡大もない】【超音波:逆流はあるが左房拡大や心不全兆候は認められない】診断僧帽弁閉鎖不全症ステージB1治療飼い主様と相談のうえ、降圧剤のみ投薬を開始しています。定期的な検診でも経過は良好で、今の所ステージの進行は見られません。僧帽弁閉鎖不全症の治療目標は寿命を伸ばすことはもちろん、肺水腫による苦しみをなるべく感じさせない・いづれくる肺水腫を先延ばしにすることです。よく寝ている、散歩で歩きたがらないなど、高齢になれば誰しもが見られる行動が実は心臓病だったということもあります。投薬で散歩もルンルン♪でいくようになった!というお声も少なくありません。健康診断のタイミングで必ず聴診はしてもらいましょうね😊