うさぎトレポネーマ症うさぎのトレポネーマ症はうさぎ梅毒とも呼ばれており、その病気の名前から、飼い主様も驚かれましが、人には感染しませんのでご安心ください。ただし、うさぎを多頭飼育している場合は、他のうさぎさんにも感染しますので注意が必要です。今日はそんなトレポネーマ症(梅毒)について症例を交えて解説していきます!原因原因はSpirochaetaceae 科Treponema 属Treponema cuniculiが感染することで起こります。感染したうさぎが他のうさぎと接触することにより広がっていきますが、感染しているうさぎは見た目上は正常であることもあり、知らず知らず感染を広げていることもあり、注意が必要です。多くは母うさぎから子ウサギへ、また同居しているうさぎ同士が接触することにより起こります。症状がない子でも、不適切な飼育環境など、ストレスが原因で発症することもあります。症状症状は鼻まわり、外陰部、膣、陰茎、包皮、肛門周囲などに赤みや腫れ、水疱、潰瘍やかさぶたを伴う皮膚炎がみられます。グルーミングを行うことで、皮膚炎が耳や四肢に波及する可能性もあります。鼻の周囲の皮膚炎から、鼻水やスナッフルが見られることもあります。妊娠中のメスは流産や死産の可能性も高まると言われていますが、元気や食欲に大きな影響はない症例が多いです。診断に必要な検査特徴的な見た目や若齢〜1歳前後という年齢から推察します。その他の感染症と鑑別するためにも皮膚の検査を行い、外部寄生虫感染や、真菌(カビ)、他の細菌感染でないかを確認します。治療治療はクロラムフェニコールの投与です。早い段階で治療を終了すると、再発の可能性が出てくることから、症状の改善が見られても、しっかりと治療を行う必要があります。予防は?予防は、一にも二にも感染したうさぎとの接触を避けることです。また、新しいうさぎさんを家に迎える場合は、その子の様子をしっかり観察し、症状が現れたらすぐに動物病院を受診しましょう。症例うさぎ ホーランドロップ3歳 雄2週間前から鼻の真ん中に出来物と、かさぶたができたとのことで来院されました。特に本人が気にする様子はないが、少し鼻水も出ているとのことでした。飼い主様は気付かれてはいませんでしたが、包皮周囲の皮膚も炎症が認められました。【写真:包皮の皮膚がただれている】検査皮膚の検査を行いました。明らかな真菌や、外部寄生虫の存在は確認されませんでした。治療クロラムフェニコールの内服薬を処方し、治療を開始しました。経過経過は非常に良好で、鼻や包皮の皮膚炎も綺麗になっています。今後もしっかり見ていき、適切な時期に内服を切ります。