こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥今日はレッグ・カルベ・ペルテス病(大腿骨頭壊死症)の症例をご紹介します。レッグカルベペルテスとは?まずレッグカルベペルテスについてご説明いたします。レッグカルベペルテスとは大腿骨頭への血流障害起こることで、無菌性の虚血性壊死が生じる病気です。虚血により骨頭が壊死し、骨頭の圧潰や骨折、股関節での関節炎が進行します。明確な原因は人医療でも不明であり、動物さんでも解明されていません。血栓やステロイドの投与が要因と言われることもあるようです。シグナルメント体重は10kg以下テリア種やトイプードル7ヶ月齢前後(3-13ヶ月)片側性が85%両側性は15%前後症状症状のある患肢の負重が軽い股関節進展痛、外転痛、可動域の制限筋肉量が少ない などが挙げられます両側性の場合は背弯姿勢後肢の歩幅が短い などが出てきます診断触診レントゲン検査切除した骨頭の病理検査 で診断をつけていきます。治療大腿骨頭切除人工股関節全置換術 などがあります。症例1ビションフリーゼ、トイプードルのミックス1歳去勢雄 5kgご飯や水を飲む時間で右後ろ足をずっと挙げている、トリミングも難しいと言われたと来院されました。もともと膝蓋骨内方脱臼(パテラ)が右後ろ足で確認されていましたがこの時には股関節の進展痛もあり、レッグカルベペルテスも疑わしいと考えました。検査レントゲン検査では大腿骨頭の扁平化、骨頸部の変形が認められます。【レントゲン:左側大腿骨頸部の変性が確認でき、右側は正常である】【レントゲン:正常犬の股関節 大腿骨頭の扁平化もなく頸部もくびれており綺麗】当犬の生活レベルが下がっていることも考え手術を行いました。治療今回は元々あったパテラの手術に加え、痛みの原因となっていた大腿骨頭の切除を行いました。【写真:術創中央に大腿骨頭が見える】【写真:骨頭切除している】【写真:切除した骨頭】【レントゲン:術後レントゲン 右側大腿骨頭が切除され、パテラも整復されている】経過術後2週間で患肢の着地が可能になり、さらに1ヶ月後にはかなり元気とのことでした。症例2トイプードル 1歳雄 2kg抱っこをするときにキャンとないたとのことで来院されました。診察時はずっと背弯姿勢であり背中を押すと痛がるそぶりもありました。背中が痛いためにこの姿勢であると考えましたが、以前よりずっと家でもこの姿勢とのことでした。身体検査を進めていったところ、股関節の進展痛もありました。検査レントゲン検査を行いました。【レントゲン:ピンク円(大腿骨頭扁平化 頸部 変性)みどり円(パテラの脱臼)】背骨は明らかな脊椎狭窄や骨変性は認められませんでしたが、大腿骨頭、骨頸部に変性がありました。治療この症例も左の膝蓋骨内包脱臼(パテラ)があったため飼い主様と相談し両側大腿骨頭切除と左後肢膝蓋骨内包脱臼の整復を実施しました。【写真:器具を使用して大腿骨頭を切除しやすいように浮かせているところ】【写真:大腿骨頭を切断している】【レントゲン:ピンク円(骨頭切除されている)緑円(パテラも正常位に整復されている)】経過この症例は入院中から比較的積極的に後肢を使うそぶりを見せてくれていました。術後2週間経過し、まだ前足に頼った生活はしているものの、レントゲン上は経過も良好です。リハビリも少しずつ負荷をかけていきます。