皆様の中には、犬が口を開けて「ガーガー」と呼吸をしている音を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。そういう呼吸をする犬の多くが、短頭種と言われている犬です。短頭種は、軟口蓋という場所が長すぎるために、そういった音の呼吸が起こりやすくなります。「うちの犬はしょっちゅうガーガー言った呼吸をする」「緊張した場面でそういう呼吸をして気絶したことがある」「獣医からいずれ手術をしたほうがいいかも。と言われたことがある」といった飼い主様もいらっしゃるかもしれません。今回はそんな軟口蓋が長い犬について実際の症例を交えつつ、ご紹介していきます。短頭種とは?短頭種とは、鼻が短い犬を指します。例えばパグフレンチブルドッグボストンテリアチワワシーズなど、いわゆる鼻ぺちゃな犬が当てはまります。軟口蓋が長いと何が悪い?このガーガー音は、喉の上の奥にある軟口蓋と言われる場所が長いと出ます。特に気をつける必要があるのは気温です。犬は体が熱くなるとパンティングという口を開けた呼吸をします。この時点では、よほど過長が重度でないかぎりでは問題になることはありません。しかし暑い場所に長くいたり、緊張のせいで長時間ガーガー喉を鳴らす呼吸をしていると段々と喉の奥が腫れてきます。喉の奥が腫れてしまうと、空気の通り道である気道が塞がり呼吸困難舌などの粘膜の色が悪い(低酸素によるチアノーゼ)陰圧性の肺水腫などを起こしてしまいます。また、一生懸命に呼吸をするため高体温にもなり、熱中症になる可能性があります。軟口蓋過長の治療方法は?軟口蓋過長の治療方法は外科治療と、内科治療があります。外科治療外科治療は、軟口蓋過長の根本的な治療が可能です。方法は、伸びすぎた軟口蓋を切除することです。これにより、空気の通り道が確保され、一回の呼吸で多くの酸素を取り込むことができます。酸素をたくさん取り込むことができれば、呼吸困難や、低酸素になりづらくなり、パンティングも起こりづらくなるので、体温が高くなりすぎることも予防できます。内科治療内科治療は体重管理首輪をしない運動制限夏場の外出を控える喉の炎症を消炎剤で治療するなどがあります。基本的には日常のケアがメインとなるため、劇的な変化は乏しいと言えます。症例症例は8ヶ月のメスのパグです。避妊手術の前のレントゲン検査で軟口蓋の過長が確認されました。麻酔中の写真です。軟口蓋部分が伸び、通常の気道の通り道を塞いでしまっています。伸びた軟口蓋を切っている手術中の写真です。手術は無事終了し、術後の経過も順調です。手術前と手術後のレントゲンでは、軟口蓋の長さがかなり違うことがわかります。まとめいかがでしたでしょうか?今回は犬の軟口蓋過長について解説しました。短頭種を飼っている飼い主様は、暖かかくなってきた頃から十分注意していただいているとは思います。しかし、この軟口蓋は、ガーガー言えばいうほどどんどん伸びてきてしまいます。つまり、年齢を重ねると、若い頃よりも確実に過長は進んでしまいます。気になる呼吸をしていたら、まずはレントゲン検査をして見てください。軟口蓋がどれほど長いのかを確認することができます。当院は呼吸器に強い病院です。手術の実績も多く、内科治療でも数多くの提案ができます。愛犬の気になる呼吸は、ぜひ当院までご相談ください。一緒にベストな治療を考えていきましょう!