こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです。今日は前歯がぐらぐらしていたジリスさんをご紹介します。症例リチャードソンジリス雄1歳7ヶ月前歯がぐらぐらしており、気にしている。食べづらそう。とのことで受診されました。診察時でも、上顎の切歯(前歯)2本の動揺が確認できました。ピンセットで簡単に抜くことができました。【写真:上顎の前歯2本が簡単にとれた】歯の根本を見ると、歯根部分は確認できませんでしたので、歯茎の中で歯が折れていたと推察できました。【写真:歯が抜けた後、穴が開いているように見えるが、歯の根っこは残っていると思われる】飼い主様からお話を聞くと、ケージをずっと噛んでいるとのことでした。ジリスさんもそうですが、小さい動物さんたちの前歯はとっても繊細です。硬いものをずっと噛んでいると破折の原因になってしまいます。また、歯根に影響を及ぼし、歯が伸長異常や、歯牙腫などの問題を引き起こす可能性があります。歯牙腫とは?歯牙腫とは簡単にいうと、前歯の根っこの部分が腫大する病気です。別名はオドントーマとも言われ、上の症例のように、ケージを噛み噛みすることなどより、歯の根っこに過度に刺激が加わり起こるとされています。問題になるのは何も歯の根っこだけではありません。特に困ってしまうのは、上顎の歯の根っこに歯牙腫が出来、腫大することによって鼻からの空気の通り道を塞いでしまいます。症状鼻水、くしゃみといった鼻炎の症状や、呼吸困難に陥ることがあります。また、鼻から空気が吸えず、口呼吸となることで空気を飲み込み、お腹にガスが溜まっていきます。溜まりすぎると食欲不振になることもあります。検査歯牙腫はレントゲン検査やCT検査により、歯根の状態を確認し診断していきます。胸部のレントゲンは、鼻炎症状や呼吸状態の悪化などが、他の病気が原因で起きていないか確認することもできます。治療根本的な治療は外科手術によって、歯牙腫のある歯を抜くことです。ただし、歯牙腫がかなり大きい場合や、歯牙腫になっている根っこと前歯が折れている場合は摘出が難しいこともあります。その場合は、空気の通り道を確保するために鼻の上に穴を開けて、空気の通り道を確保することが必要です。内科治療には、抗生剤や消炎剤の投与があります。軽度の場合はこれにより、一時的な感染や炎症が抑えられ、症状の改善が見込める場合もあります。予防原因は歯の根っこへの過剰な刺激によるとされているため、ケージを噛んでしまう子であれば、ケージの網の細かいものに変更し、噛まないような工夫をしてください。