こんにちは!渋谷区にあります渋谷動物医療センターです🏥🐾今日は猫ちゃんの腎リンパ腫の症例をご紹介します。腎リンパ腫とは?疫学猫ちゃんでも腎リンパ腫は珍しく、猫ちゃんの全腫瘍の中の1.5%にしか満たないと言われています。またその平均発症年齢も9歳と若く、1歳未満での発症の報告もあります。過去にはFelVとの関連も考えられていましたが、今現在猫ちゃんのFelVの感染率も下がっています。治療治療は基本的に抗がん剤が第一選択となります。片側のみの腎リンパ腫が疑われる場合は罹患した側の腎臓を摘出する報告もあります。症例今日は症例をご紹介します。猫 6歳(推定) 雑種 避妊雌2、3日前からご飯を食べず、数回嘔吐、おしっこもあまりしていないかも?とのことでした。検査触診ではお腹の中に大きなしこりが触知され、血液検査では腎臓の数値の上昇は認められました。今回の症例もFelVとの関連は認められませんでした。レントゲンではお腹の中のしこりと、腎臓の腫大が認められました。【レントゲンVD:緑に囲まれた腫瘤病変が確認できる】【レントゲン:上のみどりは腫大した腎臓・下は腫瘤病変】超音波では腎腫大の他に腎臓辺縁の不整、被膜の内側の低エコー、腎盂の高エコー化、やや腎盂拡張が認められました。またお腹のしこりは他の臓器との連続性は認められす、リンパ節の腫大であることが疑われました。腎数値の上昇も著しいことから、点滴を行い、お腹のしこり、腎臓の針生検による細胞診を行いました。針生検の結果、お腹のしこりと腎臓のどちらにおいても独立円形上の細胞が認められ、『リンパ腫』が強く疑われました。細胞診の結果を外部機関に提出し、診断を仰ぎました。またその間、点滴は継続しステロイドを開始しております。検査の結果、腎臓リンパ腫が強く疑われるとの結果でした。治療現在、飼い主様と相談し抗がん剤の治療をスタートしたのち抗がん剤のクールも全て完遂し寛解しております。猫ちゃんは慢性腎臓病、リンパ腫はどちらもかなり多い動物種です。ただ今回の症例は腎数値の上昇が認められたがために、慢性腎臓病あるいは急性の腎障害の可能性も疑われました。今回の症例も症状に特異的なものはなく、受診するほどのものなのか飼い主様も最初迷われたそうです。しかし、今回のように蓋を開けてみると大きな病気が隠れていることもあります。みなさん定期検診や、軽い症状悪化でも受診を考えてみてくださいね。